運転資金の発生要因と融資判断

 創業時だけではなく、継続的に事業を行っていると、様々な要因により必要な運転資金額も増減します。減少する分には問題ないのですが、増加した際に、その増加分の資金需要が発生しますが、それを銀行からの融資でまかなう場合、運転資金の発生要因により銀行の融資スタンスも変わってくるので注意が必要です。

 運転資金の発生要因は主に以下の4つに大別できます。

  • 売上の増加
  • 売上金の回収条件の長期化
  • 棚卸資産の増加
  • 支払条件の短期化

 

 

  • 売上の増加

売上が増加傾向にある場合、より多くの販売を見越して、仕入量も増加し一時的に、一時的に立て替えなければならない金額も増加するため、より多くの運転資金が必要となります。

 通常、このような場合、正常な売上の増加によって会社が成長しており、会社の業績も向上しているケースが多く、銀行の審査も比較的緩くなる傾向にあります。

 

  • 売上金の回収条件の長期化

この場合、なぜ売上金の回収条件が長期化したのかを考える必要があります。単純に

売先の構成が変化した、新たに回収期間が長い取引先が増えた等々の理由であれば、全体として回収条件が長期化するのは自然なことであるため、銀行の融資の審査も厳しいものにはならないでしょう。

 一方で、既存の販売先の回収条件が伸びた場合などは、銀行の審査はやや慎重になります。通常、既存の販売先の回収条件が伸びるということは、当該取引先の資金繰りが悪化していると考えるのが自然であり、究極的には貸し倒れにより売上金の回収が不可能になり、当該売上金の回収を見込んで貸した銀行の融資も返ってこなくなるという最悪のシナリオも考えられるからです。

 

  • 棚卸資産の増加

棚卸資産が増加している場合、通常、資金繰りを圧迫するものであり、不良在庫、また

は不良在庫になりかねないものとも考えられ、銀行の審査の目は厳しくなります。

 一方で、売上増加に伴って手元在庫も増加せざるを得ない場合や、季節商品の需要による在庫増、長期的に販売される商品の一括仕入れなど、棚卸資産の増加が正常であり。合理的な説明を行うことができる場合は、銀行の融資スタンスも相対的に緩やかになります。

 

  • 支払条件の短期化

支払条件が短期化される場合、一般的には貸出先の信用力の低下により、取引先から支払条件の短期化を要請されている場合が多く、そもそもそういった場合には資金繰りが悪化している可能性が高く、銀行の融資スタンスは非常に厳しいものとなります。

ただし、支払い条件の短期化の目的が、仕入割引(早期に代金を支払うことで割引を仕入代金が割引されること)を受けることであれば、利益率が改善され、業績向上につながるため、しっかりとした説明をできれば、銀行の融資スタンスも前向きになります。