創業計画書 減価償却費①

 利益を計算するうえで、その期にかかった費用は売上などの収入から差し引かれます。例えば新しくレストランを始めることを考えてみましょう。費用としては、食材などの仕入れ、シェフやウェイターのお給料、電気や水道などの光熱費、情報誌へ掲載するための広告宣伝費などが代表的な費用です。

 ここでレストランの建物を賃貸で借りているのであれば毎月のテナント料が費用として計上されます。

 

 では、レストランの建物を創業時に仮に数千万円で購入したとすればどうなるでしょう。

買ったときに全額費用するのでしょうか。

 

答えはノーです。これから2,30年営業していく予定で購入した建物を初年度に全額費用計上することは、各期の適正な利益の計算が歪められてしまします。初年度は確実に赤字になってしまいますし、次年度以降も建物を使用することによって生じる費用を認識しないことになります。

 

 ここで登場するのが減価償却という考え方です。具体的には建物を購入した時には資産として計上し、一度に費用として認識はしません。以降、一定のルールに従って、決められた年数(耐用年数)に渡って、時の経過や使用による摩耗などによる価値の減少を、各期の費用として利益の計算に反映させていくことで、レストランを賃貸しているのと同じように各期に費用配分し適切な利益の計算を実現させるのです。

 

ただし、土地や借地権のように時が経っても価値が減少しない資産は減価償却を行いません。

 

 ちなみに、減価償却の方法は複数ありますが、代表的なのは耐用年数の期間で均等に償却していく方法(定額法)と、期首の帳簿価額に償却率を掛けてその期の償却額を求め津方法、すなわち当初の減価償却費が多く計上され、年々費用計上額が減少していく方法(定率法)です。