株式会社設立のメリットとデメリット

株式会社にするメリットとしては、1つ目は信用力が増します。ここでいう信用力とは2つあり、まずは資金調達力です。一概に株式会社だから借りられる、個人事業主だから借りられないというわけではありませんが、個人事業主として借りる場合はあくまで個人の借金になるため、おのずと借りられる金額の上限も決まってきます。一方、株式会社の場合、財務状況によっては何十億単位の借入も可能となりますし、総じて資金調達力の点では株式会社の方が有利となります。もう一つは、イメージ的な信用力です。やはり個人でビジネスを行うと取引上の制約がでてくることもあります。株式会社の方がビジネスの契約に結び付きやすいでしょうし、そもそも個人事業主とは取引を行わない企業もあります。

 

2つ目のメリットは、出資者が有限責任であることです。個人でビジネスに失敗した場合、最終的には個人で債務などすべて責任を負うことになります。一方で株式会社の場合、何度も説明させていただいたとおり株主は原則として、会社が倒産したとしても出資した金額のみしか責任を負わないため、比較的リスクが低く安心して出資、ビジネスに参入できるのです。ただし、借入金などに個人として経営者保証などを行っている場合は株主としては有限責任であっても残債については保証人として個人で責任を負うことになります。

 

3つ目のメリットは節税になります。個人事業主の場合、所得に対して課税される所得税が累進課税制度であるため、利益が出れば出るほど税率が上がってしまいます。一方で、原則法人税は一定であるため、利益がある一定ライン(個々のケースで異なります)を超えてくると、会社化して法人税として支払った方が節税になります。また、役員給与として費用計上できかつ、個人の所得税においても所得控除の部分は課税されないため個人事業主よりもお得になります。

 

株式会社の設立はビジネスにおいて非常にメリットが多いといえますが、あえてデメリットを挙げるとすれば、設立に際して印紙代や手数料等で最低でも20万円超が必要となること、また個人事業主に比べ、会社の資産と個人の資産は別物なので分けて管理する必要が出てきます。給与に関しても、個人事業主の場合すべての売上も費用も最終的な利益も自身に帰属するため、ある意味自由に使っても誰も文句は言いませんが、株式会社の場合は予め役員報酬として税務署に金額を届けなければ給与を会社の経費にできないなど、裁量的な部分では制約は出てきてしまうと言えるでしょう。

ですから、あえて株式会社をつくらない、法人化しないという選択肢もあるわけです。最終的にきっちりとした根拠をもって意思決定することが重要です。