損益計算書上の利益計算

創業融資を受ける上で創業計画書の作成が必要となりますが、創業計画書はざっくり言えばどのような事業活動を行ってどれくらい利益を稼げるかというものです。

ここで、利益といってもいろいろな段階での利益があり、それぞれの利益の意味合いも異なるため、損益計算書上の各段階の利益については以下のようになります。

① 売上高-売上原価=売上総利益
まず、売上金からその仕入代金を除して売上総利益、いわゆる粗利を計算します。

② 売上総利益-販売費および一般管理費=営業利益
続いて、売上総利益から、社員の給料や家賃、光熱費などいわゆる経費となる販管費(営業費)を控除して営業利益を算出します。

よって営業利益は純粋な営業活動によって生ずる本業の利益を表しています。

③ 営業利益+営業外利益-営業外費用=経常利益
上記で算出された営業利益に預金利息や借入利息、副業からの収入等、営業外収益を加減算して経常利益を算出します。
つまり経常利益は企業として純粋な営業活動及び毎期経常的にする収益全体で見た経常的な収益力を表しているといえます。

④ 経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期純利益
経常利益を算出したところで、企業の総合的な収益力を図ることはできましたが、長く事業活動を行っていると、不要資産の売却による利益や災害による損失など、重大であるが経常的ではないが、当該会計期間において重要な損益が発生する場合があります。それを特別損益として調整した金額が、結果として当期純利益となるのです。

⑤ 税引前当期純利益-法人税、住民税及び事業税=税引後当期純利益
④で求めた利益に対して、通常、黒字であれば税金を支払わなければなりません。よってその期に企業が稼いだ利益から税金を引いたものが税引後当期純利益として最終的に手元に残る利益となり、一般的に当期純利益と言えば税引後を指す場合が多いです。

 ただし、税金を求める上で基準となる利益の計算方法は、会計上と税務上でおおむね一致しますが、多少異なる点もあるため損益計算書上の税引前当期純利益と税金の額が対応しないこともあります。そうしたズレを解消するため税効果会計という方法により損益計算書上で法人税等調整額を計上する必要がありますが、当ブログの対象層である中小企業においては、上場企業のように財務諸表を厳密に開示することが求められているわけではなく、企業実態を財務諸表上で適切に開示するニーズが乏しい(粉飾していいという意味ではありません)ため、税務計算が正しく実施さえ出来ればよいのです。よってそもそも最初から税務ベースで会計処理する場合がほとんどです。
よってこちらでも割愛させていただきます。