医療法人における社宅

社宅の設置・利用は、医療機関のみならず一般的によく行われている福利厚生手段です。
また、医療法人が物件を所有して、または、医療法人が不動産会社から借り上げて役員(院長など)や従業員へ賃貸する方法いずれも物件に関してかかった費用は法人の経費として計上することができ、節税にもなります。
(ただし、役員・従業員への社宅の貸付は福利厚生として行わなければ、医療法に抵触する可能性もありますので、その点ご留意下さい。)

社宅を利用する際の注意点としては、社宅を無償で役員・従業員に賃貸してしまうと賃料相当額が、社宅を利用する役員・従業員の給与として課税されてしまう点です。ここで、役員の場合は賃料相当額、従業員の場合には賃料相当額の50%を負担させていれば、給与として課税されることはありません。役員と従業員で負担の割合が異なることにご注意ください。
賃料相当額は、その物件の固定資産税などから算出した金額をいいますが、いわゆる小規模住宅(耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下をいいます。)である場合には、家賃相場の15%以下になることも多く、わずかな負担で済みます。

さらに、MS法人が存在する場合には社宅はより節税などにつながることがあります。
つまり、MS法人が社宅を所有し、医療法人が当該社宅を借り上げて役員や従業員へ賃貸する方法です。
この方法によれば、家賃相場はある程度の幅があることから、常識的な範囲で家賃を変動させることができ、また「短期前払費用」の規定により、1年分を前払し経費にすることができるためです。

以上、社宅はうまく活用することで役員や従業員への福利厚生手段となり、節税にもなります。

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