クリニック開業初年度の消費税の還付

クリニックの開業初年度については、消費税の還付を受けることができる場合があります。

具体的には開業初年度の設備投資(医療機器の購入など)が多額の場合には、その購入額に含まれる消費税(平成29年は8%)の還付を受けるというものです。

ここで、通常開業初年度の消費税については、免税事業者となり消費税の還付を受けることができません。ただし、「消費税課税事業者選択届出書」という書類を提出することにより、課税事業者となることができ、この場合は還付を受けることができます。

ただし、「消費税課税事業者選択届出書」を提出した場合は、3年間は免税事業者となることはできません。多くのケースでは、設備投資は1期目が多く、2期目以降は大幅に減ることになりますで、2期目、3期目は届出を行わない方が有利になる可能性は高くなります。

 

それでは、1期目の設備投資額がいくら程度であれば、課税事業者となることにより3年間通算で有利となるのでしょうか。こちらについては、3年間の課税売上(自由診療の売上など)や経費の金額を予測してシミュレーションしてみなければわかりません。内科におけるCT、歯科におけるユニットなど高額の医療機器の購入があれば、課税事業者を選択した方が有利となるケースがあります。

一方で、皮膚科、耳鼻科、精神科などはそれほど設備投資額が多くならないと考えられるため、課税事業者とならない方が有利であるケースが多いです。

なお、「消費税課税事業者選択届出書」を提出した場合は、3年間は「簡易課税」を選択することもできなくなります。簡易課税は課税売上が5,000万円以下の事業者に認められている制度で、課税売上にかかる消費税のうち一定割合(医療機関は通常50%)を支払った消費税とみなして納税額を計算するという制度です。医療機関は課税事業者となる場合、一般的には消費税のかからない人件費の割合が多く、簡易課税が有利となるケースも多いため、この意味でも事前の慎重なシミュレーションが必要です。