産業医の報酬について

医療機関から支払われる勤務医への診療行為(保険診療)の報酬は、通常、給与所得となります。これは、通常医療機関と医師との間に雇用契約が結ばれるためです。

雇用契約は、一般的には労働者に対して指揮命令があり、勤務場所・勤務時間の拘束があり、かつ報酬が従事した時間に対して支払われるものをいいます。

それでは、いわゆる産業医に支払われる報酬はどのように扱われるのでしょうか。

 

この点、国税庁の質疑事例によれば、個人の医師(勤務医・開業医)が派遣先の会社などから受け取る産業医報酬は、原則として給与になるとされています。

ただし、医師と派遣先の会社の間に仲介会社が入っており、仲介会社から医師に対して報酬が支払われる場合には、仲介会社と医師との間に業務委託契約が結ばれることがあり、この場合には事業所得または雑所得として扱われるケースもあります。

また、診療行為(保険診療)に対する報酬および産業医報酬以外の報酬で、医療機関から支払われるものについては、通常、上記の雇用契約の要素を充たすものが多いと考えられ、給与所得になる場合が多いといえます。

過去の判例でも、非常勤医師に対する報酬は事業所得または雑所得ではなく、給与所得と認定されるケースがありました。

もっとも、形式的にも実質的にも医療機関と医師の間に業務委託契約が結ばれているケースにおいては、事業所得または雑所得になる余地はあるといえます。

給与所得として申告しなければならないか、または事業所得・雑所得として扱うことができるか、一律の判断基準はありませんが、事業所得・雑所得にする余地は全くないとまでは言い切れません。この辺りは税務リスクも考慮しながら慎重に判断しましょう。

なお、給与所得か、事業所得または雑所得かについては、受け取る側の問題のみならず、支払う側においても課税仕入になるかならないかといった差が出てきます。

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