設備資金 融資③

 それでは、具体的に銀行が設備資金の融資判断を行ううえで、チェックするポイントを押さえておきましょう。

  • 設備投資による効果

設備投資は企業活動の維持、ないしは収益力の改善、企業活動の拡大を目的とし、究極的には利益の維持・増加を目的としてなされなければなりません。具体的には既存設備の取替投資を行うことで現状の利益が維持できる、最新の機器を導入することで経常費用が減り利益率の改善になる、または生産能力の増強による売上増加などです。

 

さらにはこうした設備投資のメリットを「どれくらいのキャッシュの増加が見込めるのか。」、「それは実現可能なすうちであるのか。」といった観点から設備投資計画として具体的な数値に落とし込んでいく必要があります。もちろん、将来における売上等、見積もりに頼る部分が多いですが、いかに客観性や根拠を組み込んだ計画に仕上げるかが重要になります。

 

  • 回収可能性

(ⅰ)回収期間

 設備投資によるメリットが認められたうえで銀行としては回収できるか焦点になります。まず、設備投資によって増加したキャッシュを基に法定耐用年数以内で返済できるかという点です。基本的には設備投資によって得られた固定資産は法定耐用年数以内での稼働が想定され、法定耐用年数到来時に新たな設備に更新されることが想定されます。よって、回収期間が法定耐用年数を超えてしまうのであれば、法定耐用年数が到来して設備を更新する際に、投資金額を回収しきれなかったということになってしまうからです。

 

 ちなみに回収期間(年)は設備投資の総額を設備投資による年間キャッシュ増加額を除して求めます。ここでいうキャッシュ増加額とは利益ベースではなく、非資金項目を考慮したキャッシュベースで考えることになります。

 

(ⅱ)返済可能性

 また、当該設備投資計画だけではなく、会社全体の収益力や財務状況を勘案して、設備投資後も持続的に返済していけるかを検討します。具体的には、総借入金額を返済原資(当期純利益+減価償却費)で除して、すべての借入金を何年で返済できるかをみます。いわゆる債務償還年数というもので、おおむね10年以内であることが望ましいでしょう。また、この債務償還年数は借入後の融資管理にも大きく影響し、財務状況の悪化でおおむね20年を超えてくると、銀行の債務者区分において要注意先等に区分され、正常な貸出先でなくなってしまうので注意が必要です。