設備資金 融資②

 設備資金は運転資金の返済とは異なり、短期的な売上げを返済原資とすることが出来ないことは説明しました。では設備資金は何を返済原資とするのでしょうか。

設備資金は長期にわたる事業活動のための資金ともいえるため、毎期に積み上げられる利益を返済原資とします。

 

 ここで利益と言っても、もとは売上金なので、お金が入ってくれば返済原資としての売上金も利益も実際には単なる同じキャッシュにすぎず、概念的な区分けに過ぎませんが、こうした区分けは資金管理上でも利点があります。

 仮に売上金から優先して設備資金の借入を返済した結果、資金不足に陥り、仕入ができない、必要経費が支払えなといった場合、営業活動そのものが行えなくなるなど影響が大きいため、こうした概念的な区分けは、資金繰りの安定につながるのです。

 

 ではここでいう利益とは何をもって返済原資の利益とすべでしょうか。

この点、事業活動における支出をすべて支払ったうえで考える必要があるため、最終的に手元に残るキャッシュとして税引後当期純利益を用います。

 

 しかしながら、単純に税引後当期純利益だけを用いるわけではありません。税引後当期純利益を求める上で販管費として減価償却費を控除していますが、減価償却費は数字上の費用(キャッシュフローにおける非資金項目)であり、実際にはキャッシュは流出しません。よって、その他の非資金項目や収支のズレなどは無視した場合、税引き後当期純利益を基に、減価償却費の金額だけキャッシュが多く手元に残っているはずです。

 

 よって、簡便的には以下のようになります。

 

設備資金の返済原資=税引後当期純利益+減価償却費

 

 つまりは、当期におけるキャッシュベースの利益と言ってもいいかもしれません。