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銀行のビジネスモデルと融資⑤

実は企業の決算書を受け取ってから、格付けを行う前に大事な作業があります。

通常、大企業でない限り、会社の決算書やその過程の経理は監査法人のきちんとした監査を受けているわけではなく、会計原則に則っていなかったり、独自的なものであったり、会社の財務状態を正確に表していないものが多いです。

ここで、銀行にとって大事なのは決算書の形式的な財務状態や経営成績ではなく、本当に貸出金が回収できるのかという真の財務状態や経営成績です。

 

例えば、回収不可能な売掛金が長らく簿価で計上されている場合、銀行ではその売掛金はないとして考えます。また、私が融資担当時代によく見かけたのが中小企業の社長の趣味で所有していたゴルフ会員権です。ゴルフ会員権は取得原価で計上しますが価値が著しく下落した場合はそれを反映させる必要があります(減損処理)。バブル時代に買ったゴルフ会員権などは、ゴルフ人口の減少などゴルフ離れが進んだ昨今においては当時に比べ価値が低くなっています。その場合も過大計上されている部分はないものとして考えます。

 

一方で、零細企業などに多いのですが、企業に対する資金増強を資本金の増額ではなく無利息での役員借入という形で行っている場合があります。株式会社では資本金として増強すると登記しなければならないし、その分資本が帳簿上拘束されてしまうからかもしれません。

 

また、こうした意図が無いとしても、代表者本人からの長期にわたる無利息の借入などは直近での返済意思はない場合が多く、自己査定を行う上で実質的な資本金と扱う場合もあります。

 

 このように、銀行では提出された貸借対照表を、自己査定や貸出の可否を検討する前に、企業の実際の状態を正確に表すように修正する作業を行いますが、こうして修正された貸借対照表を実態バランス(実バラ)と呼んだりもします。

 

 よって、都合のいいように決算書の数値をいじっても(いわゆる粉飾)、銀行員もプロですから、簡単に見抜かれてしまうことが多いです。この場合、よっぽどでなければ、銀行から粉飾を咎められることもありませんが(銀行として粉飾を責めても得はない)、実態バランスに修正され、定性情報として粉飾を行う不誠実な経営者として、以後積極的な取引は避けられるようになる可能性もありますので、決算書に関わらず経営者として誠実であることを心がけてください。