日本政策金融公庫「新規開業資金」と「新創業融資制度」

日本政策金融公庫には様々な種類の融資制度があります。また日本政策金融公庫のホームページを見ても、細かく見ていけば100種類以上の融資制度があり、結局どの融資制度を利用すべきなのかわからないという方が多いのではないでしょうか。そこで創業資金という点に絞って主な制度について、ご紹介していきたいと思います。

 

上述の主な制度としては、「新規開業資金」と「新創業融資制度」があります。

 

「新規開業資金」について

・融資限度額 7,200万円(うち運転資金は4,800万円以内)

・借入期間 設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)

      運転資金20年以内(うち据置期間2年以内)

・利率 借入期間に応じて原則1.16%~2.35%(平成29年8月9日現在)

・融資の対象 次のいずれかに該当することが必要です。

1.現在、勤めている会社と同じ業種の事業を始める方で次のいずれかに該当する方

 ⑴現在お勤めの企業に継続して6年以上お勤めの方

 ⑵現在お勤めの企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方

2.大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方

3.技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方

4.雇用の創出を伴う事業を始める方

5.産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方

6.域創業促進支援事業又は潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクールによる支援を受けて事業を始める方

7.公庫が参加する地域の創業支援ネットワーク注から支援を受けて事業を始める方

8.民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方

9.前1~8までの要件に該当せず事業を始める方であって、新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると公庫が認めた方で、1,000万円を限度として本資金を利用する方

10.1~9のいずれかを満たして事業を始めた方で事業開始後おおむね7年以内の方

 

「新創業融資制度」について

・融資限度額 3,000万円(うち運転資金は1,500万円以内)

・借入期間 設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)

      運転資金20年以内(うち据置期間2年以内)

・利率 借入期間に応じて原則2.36%~2.95%(平成29年8月9日現在)

・融資の対象 次の1~3のすべての要件に該当する方

創業の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方

 

 

 

雇用創出等の要件

 次のいずれかの要件に該当することが必要です。

1.雇用の創出を伴う事業を始める方

 

2.技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方

3.現在、勤めている会社と同じ業種の事業を始める方で次のいずれかに該当する方

 ⑴現在お勤めの企業に継続して6年以上お勤めの方

 ⑵現在お勤めの企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方

技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方

4.大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方

5.産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方

6.域創業促進支援事業又は潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクールによる支援を受けて事業を始める方

7.公庫が参加する地域の創業支援ネットワーク注から支援を受けて事業を始める方

8.民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方

9.前1~8までの要件に該当せず事業を始める方であって、新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると公庫が認めた方で、1,000万円を限度として本資金を利用する方

10.1~9のいずれかを満たして事業を始めた方で事業開始後おおむね7年以内の方

 

自己資金要件

 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方

ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認知特定創業支援事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします。

 

・原則不要

※原則、無担保無保証人の融資制度であり、代表者個人には責任が及ばないものとなっております。ただし希望される場合は、代表者が連帯保証人となることで、その場合は利率が0.1%低減されます。

以上の二つの制度が広く創業資金としての融資制度として利用されますが、「新創業融資制度」は借り入れ可能金額が「新規開業資金」より少なくまた、無担保無保証であるため、金利が高くなっています。よってある程度の規模を想定しているが十分な自己資金がない、かつ差入れできる担保や保証人を用意できるのであれば金利の低い「新規開業資金」がおすすめです。

 一方で、小さな規模での起業を想定しており、また差入れする担保がない、また保証人を用意できない場合は、無担保・無保証で自己資金の9倍まで借り入れることができる「新創業融資制度」の利用がおすすめです。なお、1割は自己資金を用意する必要がありますが、地方自治体の制度融資(詳しくは後日)では自己資金と同額が借入限度の場合が多いので自己資金の9倍まで借りられるというのは、必ずしも満額で借りられるわけではありませんが、それでもありがたい制度になっています。