小規模企業共済

小規模企業共済は、国により運営される、小規模の個人事業主や中小企業の経営者のための退職金制度です。個人事業主や中小企業の経営者は、退職金制度または退職金制度に代わる制度を自前で設定することは難しいことから、そのような事業主等にも退職金制度を用意しましょう、というのが小規模企業共済です。

小規模の個人事業主が事業を廃止した場合、または中小企業の会社役員が退任した場合に、それまでに積み立てた掛け金に応じた共済金を受け取ることができる制度です。

月額掛け金については、1,000円から7万円まで500円刻みに自由に設定することができ、払い込んだ掛け金は全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除を受けることができます。また、掛け金の払込期間が36カ月以上となる場合は、支払掛け金よりも多くの共済金を受け取ることができます。一方で、途中解約も可能ですが、払込期間が240カ月(20年)未満だと解約手当金は掛け金残高を下回ることになります。

さらに、掛け金の範囲、かつ2,000万円が上限ですが、貸付金制度もあり、この点は臨時でお金が必要となった場合にも安心の制度といえます。
「国民年金基金」を利用しているドクターも多いですが、節税できる点では小規模企業共済と同様ですが、国民年金基金には貸付の制度がありません。よって、余裕資金の多いドクターは国民年金基金でも問題ないかもしれませんが、臨時の支出が多いドクターは小規模企業共済の方がよいかもしれません。

ただし、一点気を付けなければならないのは、医療法人の役員は小規模企業共済に加入することはできないということです。よって、法人成りする場合は任意解約しなければならないこととなります。継続する方法としては、MS法人を設立し、MS法人の役員として加入し続けることも考えられます。

以上、小規模企業共済はお得な制度ではありますが、元本割れ、医療法人化の際のデメリットなども考慮することをお勧めします。