医師個人の所得税について

職業や年齢に関係なく、個人に課せられる税金として代表的なものが所得税になります。

所得税は毎年1月から12月の所得(収入-経費等)にあらかじめ決められた税率をかけて計算されるものです。

所得税は「累進課税」といって所得が多くなればそれに応じて適用される税率も高くなります。例えば所得金額が195万円以下の部分については、税率は5%ですが、4,000万円超となる部分については45%となります(平成29年分)。

ここで注意していただきたいのは、ある一定額以上の金額になると所得全額に対して一律の税率が適用されるわけではなく、一定額を超えた部分に高い税率が適用され、さらに一定額を超えたら超えた部分にさらに高い税率が適用されるという仕組みになっています。よって、収入が増えたのに手取りが減るということは基本的にはありません。

 

さて、ドクターに関していえば、勤務医だと給与所得という所得が、開業医だと事業所得という所得がメインになります。

給与所得は給与額面から「給与所得控除」を引いた金額をもとに税額が計算されます。給与所得控除は「サラリーマン(会社員、勤務医など会社や医療機関に雇われている方)にも少しは経費を認めてあげましょう」というもので、一律になります。平成29年分については、給与額面が180万円以下ですと65万円まで認められますが、給与額面が1,000万円以上だと、給与所得控除は220万円となり、かつ頭打ちになります。給与額面1億円でも給与所得控除は220万円です。よって、給与収入が多い人は上記の税率の高さと相まってかなりの重税感があるかと思います。

 

一方で、事業所得は収入金額(売上金額)から必要経費を引いた金額をもとに税額が計算されます。必要経費は上記の給与所得控除と異なり、自己の判断に基づくものであるため、節税の余地があります。もちろん、必要経費とはいえない経費は税務上認められませんが、説明がつくものであれば経費算入は可能です。

 

以下、上記2つの所得を含めてドクターに関係ありそうな所得をまとめましたので参考にして下さい。

 

所得の種類 具体例 所得の計算方法
給与所得 給料、賞与 収入金額-給与所得控除額
事業所得 個人クリニックの利益 総収入金額-必要経費
不動産所得 不動産賃貸収入 総収入金額-必要経費
一時所得 保険の一時金、賞金 収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)
譲渡所得 不動産売却による損益 収入金額-取得費-譲渡費用
雑所得 原稿料、講演料 総収入金額-必要経費