クリニック経営にまつわる税金

クリニックを開業すると、勤務医時代と比較して税金に触れる機会が多くなります。

勤務医時代は勤務先からの給料(給与所得)がメインで、他には原稿料・講演料等の報酬(雑所得)が若干あった程度かと思われます。これらの所得にかかる税金は一定のルールに従い天引きされて、勤務先が本人の代わりに納付することになります。

天引きされた税額の合計に対し、1年間の所得をもとに計算した税金が多ければ確定申告で追加納付を行い、少なければ還付を受けるという流れでした。

(給料の支払が一か所の方などは、確定申告は行わず、勤務先の年末調整のみで済んでいたかもしれません。)

 

一方で、クリニックを開業すれば、確定申告を毎年行うということは同じですが、所得の種類などが大きく変わることになります。

クリニックでの利益は「事業所得」となり、事業所得の計算は何を経費に算入するかで大きく異なることがあり、ひいては税金(所得税)も大きく変わることがあります。また、基本的には給与のように税金の天引きはありませんので、確定申告により税金を納めることが主な納税方法となります(社会保険診療報酬については、所得税が天引きされます。)

 

さらに、自由診療を行っているクリニックでは、個人事業税と消費税を納税しなければならないことがあります。

個人事業税は、クリニックの所得のうち、自由診療に相当する金額を算定し、その金額が290万円を超える部分について5%の税率が課せられるものです。よって、100%保険診療であればかかりません。

消費税は、勤務医時代は「納税」といっても消費者の立場での納税だったかと思いますが、自由診療を行うことになれば、消費税を「預かる」立場になります。つまり、自由診療収入には消費税が含まれることになるため、自由診療収入×(消費税率/1+消費税率)から支払った消費税(各種消費税がかかる経費に含まれる消費税)のうち一定額を控除した金額を納税することになります。

細かい計算などは税理士にお任せする先生がほとんどですが、おおまかな計算方法については是非覚えておくと、節税するための日頃の注意点もおのずと理解いただけるのではないかと思います。