MS法人による労働者派遣・業務請負

医療機関にとってMS法人(メディカルサービス法人)は、経営効率を高める手段であると同時に、節税のための手段でもあります。


“メディカルサービス”を行う法人であることから、その業務は様々なものが考えられますが、一つにMS法人で雇用した従業員を医療機関へ派遣するという形態があります。

具体的には、MS法人が雇用した従業員を医療機関へ派遣し、医療機関からMS法人へ派遣料を支払う方法です。医療機関が当該従業員を直接雇用した場合と比較するとわかりやすいですが、派遣料と当該従業員への給与との差額について医療機関からMS法人へ所得が移転することになります。
医療機関の所得がもともと多い場合には、所得の一部をMS法人へ移転することにより、トータルの税金をおさえることが可能となります。具体的な割合としては、10の派遣料に対し、従業へは7の給与が支払われる程度が妥当とされています。

留意点として、まず労働者派遣事業を行う場合には許認可が必要となります。
さらに、平成24年10月の労働者派遣法改正により、離職後1年間は離職した会社への派遣が禁止されることとなりました。つまり、医療機関に勤務していた従業員が退職して、MS法人へ転職した場合、1年間は医療機関へ派遣することができません。これは、そのようなことが不当なリストラ手段として利用されるおそれがあるためです。
この辺りをクリアするためには、「派遣」という形態ではなく、「請負」の形態をとることが考えられます。つまり、医療機関へ人材を派遣しているわけではなく、あくまでMS法人側で医療機関の業務の一部を請け負っているとする形態です。この形ですと、法律の規制には引っかからないこととなります。
加えて、消費税については増税となる可能性があるので留意が必要です。つまり、MS法人にとって医療機関から受け取る派遣料は課税売上であり、全額課税対象となる一方、医療機関側では支払った派遣料は課税仕入にはなるものの、医療機関は一般的には課税売上割合が低いため、全額控除対象仕入税額とすることはできない可能性があるためです。

以上、いくつかの留意点はあるものの、MS法人を有効に活用することにより節税の手段とすることができます。