クリニックの専従者給与

個人事業のクリニックについては、院長と生計を共にしている家族に対する給与は原則として経費として認められませんが、家族がクリニックの仕事を行っている事実があれば「専従者給与」として経費として認められます。

専従者の要件として、15歳以上であること、1年のうち半分を超える期間仕事を行っていることなどが挙げられます。さらに、青色事業専従者給与に関する届出書を税務署へ提出すれば、労働の対価と認められる部分全額が経費として認められることになります。
白色事業専従者への給与も経費として認められますが、年間の限度額が配偶者の場合86万円、配偶者以外であれば50万円と限定的で節税効果に乏しいです。なお、白色事業専従者の給与についての届出は不要で、確定申告書に金額等を記載すれば適用可能です。

それでは、青色事業専従者について労働の対価としてはいくらくらいが妥当か、すなわち経費として認められるのでしょうか。一つの判断方法として、同等の仕事を家族でない者が行った場合に一般的に支払われる給与額があります。つまり、家族だからといって高めに支払われていないということが重要です。
例えば、家族が常勤の医師として仕事を行っていれば月額100万円以上でも認められることはありますが、特に資格を保有しておらず、簡単な事務しか行っていなければ、100万円は確実に高すぎるといえます。事務の仕事でしたら月額20万円程度が妥当なラインです。看護師の方ですと、当然それより高めに設定できます。
また、事業主の売上・所得とのバランスも重要です。例えば事業主の年間所得が1,500万円の場合、専従者給与を年間400万円支給していたとしても問題とされない場合でも、事業主の年間所得が700万円の場合に同額を支給すると多すぎると判断されることもあります。

以上を踏まえて、専従者給与は慎重に判断する必要があります。