自宅兼診療所での開院について

一戸建てにお住いのドクター、または、開業を機に一戸建てを購入しようとしているドクターは、自宅兼診療所の形態を考えることも多いようです。

都心でテナント開業する場合、例えば30坪、坪単価20,000円/月の物件を借りると年間720万円の家賃を払うことになります。よって、10年間借り続けると7,200万円ものお金が出ていくことになり、十分に一戸建てを購入できる金額に達してしまいます。

 

自宅兼診療所による開業は、将来的に自分の財産になり、通勤時間がほぼゼロとなるなど様々なメリットがあります。また、税務上もいくつかのメリットがあります。診療所のスペースのみならず、書斎や倉庫として利用していると認められる部分についても減価償却を通じて経費にすることができる点や、配偶者を専従者にした場合には、多くの時間を診療所=自宅で過ごしていることから専従者給与を多く設定できる点です。

さらに、遠い将来の話ではありますが、相続の際には小規模宅地の特例により相続税を大幅に減額することもできます。

ただし、開業を機に一戸建てを購入する場合は、テナント開業と比べ当初の資金調達額も多額となり、開業後の資金繰りが悪化する原因となります。また、ドクター・家族共に近隣の住民に広く顔が知れ渡ることがあり、窮屈に感じてしまうことがあるかもしれません。

さらに、思うように集患ができない場合に、簡単に移転することはできなくなります。

自宅兼診療所による開業も、立地やメリットデメリットを十分に検討した上で選択すべきであることは言うまでもありません。