医療法人の社員とMS法人の社員の兼任

MS法人とは、メディカルサービス(Medical Service)法人の略称で、医療機関(個人および医療法人)と密接な関係がある営利法人(株式会社等)をいいます。法律上の用語ではありませんが、厚生労働省の資料でも出てくる一般的な用語となっています。

MS法人を設立する目的として主なものは以下の通りです。
・医療法人で行うことができない事業を行う
・職種が違う従業員に適用する就業規則等を分ける
・所得分散等による節税を行う
原則として、医療法人の役員とMS法人の役職員の兼任は認められません。これは、MS法人が実質的に医療法人を支配することにより、医療法人の非営利性が損なわれる可能性があるためです。もっとも、医療法人とMS法人の取引が少額である場合等、兼任が認められる場合もあります。

それでは、医療法人の社員とMS法人の社員の兼任は認められるのでしょうか。
この点、一律に認められないという規定はなく、兼任により営利法人が医療機関の開設・経営の責任主体となる恐れがある場合には、営利目的の医療機関の運営がなされる可能性があるため、兼任を行うことはできないとされています。
よって、医療法人設立の際に、医療法人の社員とMS法人の社員の兼任を予定している場合は、営利法人が医療機関の開設・経営の責任主体とならないための配慮が必要です。

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